山口 晴保、 藤生 大我、 内藤 典子、 滝口 優子
この質問票は、認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia; BPSD)が出現する前の徴候(予兆)やごく軽度な BPSD に気づくための質問票です。これらに早期に気づいて対応することで BPSD を予防することを目的としています。
認知症の対象者のことをよく知る介護者などが、対象者の過去 1 週間の状態について思い出しながら評価をします。評価は、各質問項目の症状があれば「〇」をつけます。不安(11項目)、脱抑制(7 項目)、常同行動(3 項目)、易怒性(5 項目)、興奮(5 項目)、もの盗られ妄想(6 項目)、幻覚(6 項目)、無関心・アパシー(6 項目)、うつ(8 項目)のカテゴリーで構成されているため、カテゴリーごとの「〇」の数をカテゴリー点とします(例:「〇」が3つで3点)。また、57 項目の合計点も算出できます。評価票の最後にあります「<スタッフ記載欄>背景・状況チェック」は、スタッフ(介護職など)が、現在の対象者の状態について、「〇」をつけるなどご記入ください。
「〇」が多くついたカテゴリーは、その BPSD が出現する可能性があるため、早期に変化などに気づいて対応することで、BPSD を予防します。また、新人スタッフにチェックしてもらうことで、気づきや着眼点の教育につながります。
※記入所要時間は約 4 分です。
解説書の使用法をお読みの上ご活用ください。
NPI-Qとの関連など妥当性、信頼性の証明された評価尺度です。(藤生大我,内藤典子,滝口優子,他:BPSD 予防をめざした「BPSD 気づき質問票57 項目版(BPSD-NQ57)」の開発.認知症ケア研究誌 3:24-37,2019.)
BPSD気づき質問票57項目版(BPSD-NQ57)(外部HP)
※公開元ホームページ:DCnet 認知症介護情報ネットワーク
本ウェブサイトは、日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業の以下の研究の支援を受けて、開発・運営されています。
「認知症者等へのニーズ調査に基づいた『予防からはじまる原因疾患別のBPSD包括的・実践的治療指針』の作成と検証研究」
研究代表者 數井 裕光
「BPSDの解決につなげる各種評価法と、BPSDの包括的予防・治療指針の開発〜笑顔で穏やかな生活を支えるポジティブケア」
研究代表者 山口 晴保
「血液バイオマーカーと神経画像検査によるBPSDの生物学的基盤の解明、および認知症者の層別化に基づいたBPSD ケア・介入手法の開発研究」
研究代表者 數井 裕光