山中 克夫
介護職がBPSDにうまく対応できない場合の手立てとして活用できる各種ツール(予防を含む)を開発し、その上でそれらを手順(プロトコル)に沿って系統的・段階的に実施できるようにしました。
「BPSDの非薬物的アプローチに関する系統的プロトコル」に沿って、@介護者の経験による対応で解決できない場合には、「認知症ちえのわnet」やそのサイト内にある「認知症対応方法発見チャート」を使って対応を考えます。それでうまくいかない場合、A精神疾患、抑うつなどが重篤であれば、精神科や認知症専門の医師に相談します。そうでない場合には薬を使わない対応を実施します。そこではまずB「行動分析による研修」を職員に受けてもらい、作成した計画に基づき対応を行います。研修の実施が難しい場合はまずC行動分析に基づく「行動コンサルテーション」を受けてもらい対応を行います。それでも未解決な場合には、「行動コンサルテーション」⇒「行動分析による研修」⇒「薬物療法を含む医学的治療」の流れで対応します。また、DBPSDがあまり見られない段階では、予防のために日頃の活動の充実化を心がけていきます。そうした例として「認知活性化療法」があります。
「認知症ちえのわnet」のサイト内の情報をすべて閲覧するためには利用者登録が必要です。特に「認知症対応方法発見チャート」の利用には登録が必須となります。また、「行動分析による研修」と「行動コンサルテーション」や、「認知活性化療法」は、資材等のリンク先で挙げたテキストで学んでもらう必要があります。可能であれば、研修に参加していただくことをお勧めします。
多くの研究は現在投稿中であるため詳細は公開できませんが、介護施設で行った行動分析による短時間研修や行動コンサルテーションは、事例に基づく効果検証が済んでいます。また解析中のデータに関しても、短時間研修では従来の研究よりも対象者は重度でしたが、介入により有意な効果が認められています。
認知症対応方法発見チャート(外部HP)
※公開元ホームページ:認知症ちえのわnet
行動分析による研修・コンサルテーションのテキスト(外部HP)
認知活性化療法のテキスト(外部HP)
※公開元ホームページ:中央法規出版株式会社
本ウェブサイトは、日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業の以下の研究の支援を受けて、開発・運営されています。
「認知症者等へのニーズ調査に基づいた『予防からはじまる原因疾患別のBPSD包括的・実践的治療指針』の作成と検証研究」
研究代表者 數井 裕光
「BPSDの解決につなげる各種評価法と、BPSDの包括的予防・治療指針の開発〜笑顔で穏やかな生活を支えるポジティブケア」
研究代表者 山口 晴保
「血液バイオマーカーと神経画像検査によるBPSDの生物学的基盤の解明、および認知症者の層別化に基づいたBPSD ケア・介入手法の開発研究」
研究代表者 數井 裕光